2011年05月07日

浜岡原発を止めてもピークをスマートに乗り切れる



 菅直人総理大臣は、昨日、中部電力に浜岡原子力発電所の原子炉全停止を要請しました。

 それを受けて、中部電力は、今日午後、臨時の取締役会を開きましたが、結論は明日以降に持ち越しとなりました。

 夏のピーク時に十分な電力が供給できるか、その為の燃料が調達できるかなどが検討されたようです。

 中部電力の今年度の電力供給計画を見てみると、最大電力需要は、2,560万kWと予想し、それに対して、供給力は、2,999万kWとしています。

 浜岡原発の361.7万kWがなくなると、供給力は2637.3万kWとなります。
余裕は77.3万kWと、あまりないという計算になります。

 実際には、この供給力にも一定割合、揚水力発電が含まれているものの、短時間であれば、さらに追加する事が可能です。

 また、浜岡原発は、駿河湾で起きた地震によって、2009年8月11日から9月17日まで全機停止していましたが、真夏であるにもかかわらず、特に節電が呼びかけられる事もなく、普通に過ごせています。

 例え、猛暑や水不足など、悪条件が重なったとしても、利用者に適切な情報を提供し、対策を考えておけば、乗り切れない事はないと思います。

 あらためて確認しておきますが、原発を止めて必要になるのは「ピーク時の電力需要を抑える」事であり、夏の冷房需要がピークとなる数日〜数週間(天候による)の午前10時〜午後6時頃だけ、気をつければよく、それ以外は普通に生活、操業して良いという事です。

 そこで、ピークを抑える対策について幾つか提案してみたいと思います。

【1】分かりやすく、効果的な情報提供

 東京電力が行っているように、ピーク時の電力供給力と、実際の電力需要を常時提供すれば、その情報を見て、各自が必要に応じて節電するでしょう。

 できれば、第一防衛線として「東京電力への電力供給ができなくなる」ライン、第二防衛線として「関西電力から電力供給を受ける必要が出てくる」ライン、そして最終防衛線として「ピーク時供給力」を情報提供してもらえれば、「人の役に立ちたい」「人に迷惑を掛けたくない」という気持ちが働きますから、電力需要がまだ少ない段階から、節電する動機付けになり、効果的でしょう。

【2】冷房需要の抑制

 夏に電力のピークが来る最大の理由は冷房需要の増大ですから、これをいかに抑えるかが大切です。

 私もこれまで、家庭用、事業者用に、きるだけ無理なく冷房を使わない、或いは使用時間を減らす方法をご紹介してきました。

 例えば、家庭用であればこれら。

「私のエコライフ」五回目〜エアコンなしで快適に(上)〜

「私のエコライフ」六回目〜エアコンなしで快適に(下)〜

「私のエコライフ」八回目〜エアコンを賢く使いこなす〜

 事業者用でしたらこちら。

環境ビジネス情報発信 コラム Vol.5「省エネ(1)空調対策」

【3】フレックスタイムの導入

 おそらく、【1】、【2】の対策を多くの家庭、事業所が行えば大丈夫だと思いますが、念のためこの対策もすれば、確実にピークを抑えられます。

 この一日の電気の使われ方をご覧になるとおわかりのように、午後0時〜1時の休憩時間、電力需要には谷ができます。

 そこで各企業が、始業時間を30分〜2時間程度、早く、または遅くして、休憩時間もそのままずらせば、谷が分散しますから、ピークがなだらかになります。

【4】計画停冷の実施

 それでもまだ不足するようであれば、「計画停冷」(造語です)をしてはいかがでしょうか。停電ではなく、地域を分け、計画的に短時間だけ冷房を止めるのです。

 一番単純なのは、愛知県とそれ以外(分け方はほぼ同じになるよう考えてください)といった二分割をして、ピークの時間だけ、片方が毎正時から30分間冷房を止め、もう一方が毎時30分から正時まで止めるのです。

 積極的に参加する人は、冷房だけでなく、テレビやパソコンなども一緒に止めるかもしれません。

 真夏に何時間も冷房を止めると命に関わりますが、30分ごとであれば、そこまで深刻な事態にはなりません。それに、停電している訳ではありませんから、どうしても苦しければ冷房を掛ければよいのです。

 開始時間、切り替わり時間には、テレビやラジオでも知らせると、協力を得やすいでしょう。

【5】町内避暑地の設置

 まずないと思いますが、それでも電力が不足するようなら、夏の日中、公民館、役所などの公共施設を、「町内避暑地」として開放すると良いと思います。

 各家庭が別々に冷房するより、集まった場所だけで冷房するほうが全体として節電になります。
それに、出かける時には、冷房だけでなく、テレビ、パソコン等他の電化製品も止めますから、効果が大きいでしょう。

 必要があれば、スペースに余裕がある店舗、地下街、オフィスビル等も協力すると良いと思います。

 ここまで考えておけば、まず安心です。
心おきなく、普段通りに生活し、企業は経済活動を行い、どうしても必要な時だけ、みんなで協力して、スマートに夏の電力ピークを乗り切りましょう。

 中部電力さん、安心して浜岡原発を止めてください。
posted by otomi at 23:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 提言 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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