2019年10月14日

IMFが高い炭素税を課し所得税等を下げる政策を導入すべきとの見解書を発表

 IMF、国際通貨基金は、地球の気温上昇を2度未満に抑えるために、2030年までに、CO2 1トンあたり75ドル(約8100円)の炭素税を各国政府が導入するべきとする見解書を公表しました。

IMF:気候変動を抑制する財政政策
https://www.imf.org/ja/News/Articles/2019/10/09/blog-fiscal-policies-to-curb-climate-change

 ただし、単に増税しろということではなく、その分、所得税などを減税する政策も可能であろうとしています。

 これは大切なニュースだと思いますが、相変わらず、こういう内容は日本のメディアではほとんど取り上げられません。
検索して出てくる限り、時事通信が短く配信した程度のようです。

 ロイター通信ガーディアンワシントンポスト、などの世界の主要メディアではしっかり伝えられているのとは対照的です。

 私も消費税を廃止し、それと同額の歳入が得られるよう地球温暖化対策税を増税(+後述の放射性廃棄物保有税の導入)し、一般財源化すべきというのが持論ですから、賛成です。

 税金というのは、心理的には、罰金や、本当は負担したくない経費として働きます。つまり、所得税は、働いて給料をもらった罰、消費税は、物やサービスを消費した罰を与えられたと感じるわけで、働く意欲や、消費する意欲をそぐ働きをするわけです。

 私は、経済的にマイナスに働くこれらの税よりは、社会を改善する方向に働かせる税のかけ方をすべきで、今、人類が置かれている状況を考えると、最もふさわしいのが炭素税の導入、日本でいえば、すでにある地球温暖化対策税の増税であろうと考えます。

 IMFは、この額の炭素税の導入で、電気代が平均45%、ガソリン代が平均14%値上がりするだろうとしていますが、所得税や消費税の減税とセットであれば、十分受け入れられるだろうと思います。

 私は、さらに、CO2は出さなくても放射性廃棄物を出す原子力発電も抑制するため、放射性廃棄物保有税も、放射能レベルに応じる形で導入すれば、より効果的に再生可能エネルギーへの切り替えが進むと思います。





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2011年08月17日

原子力発電は核抑止力になるか

昨夜のテレビ朝日「報道ステーション」で、自民党石破茂政調会長が、「原発を減らして、自然エネルギーを増やしていく事には賛成だが、完全になくして良いとは思わない。日本がその気になれば1年以内に核兵器を作る能力があると周囲の国に思わせる事は、抑止力に繋がる。」という主旨の発言をしました。

これまでも、こうした発言をする人はいましたが、私が記憶する限り、自民党の政調会長という要職にある国会議員が、プライムタイムのニュース番組に出て語るのは初めてだろうと思います。

原発が核抑止力であるという論は、原発推進派としては最終兵器とでも言うべきもので、他国から批判を浴びる可能性があるため、できれば言いたくなかったはずです。

それでも言わざるを得ないほど追い込まれたと見ることもできます。

逆に言えば、この最終兵器を論破されると、原発推進派に、ほとんどまともな武器はなくなるとも言えます。

では、原子力発電を核抑止力のために続ける事は、安全保障上有効な戦略と言えるのか考えてみたいと思います。

昨年10月に放送されたNHKスペシャル「スクープドキュメント “核”を求めた日本」で描かれたように、中国がアジアで初めての核実験に成功した際、日本は核兵器の開発を具体的に検討し、「原爆を保有する事が適当である」という方針を決めました。

しかし、アメリカは日本に核兵器の保有を許しませんでした。それどころか、核兵器を「作らず、持たず、持ち込ませず(アメリカを除く)」という非核三原則を誓わせました。

戦争をした相手である日本に核兵器を持たせるほど信頼をおいていないという事でしょう。

しかし、原発の推進は認めました。なぜでしょうか。
私は、3つの意味でアメリカにとって利益となり、脅威とはならないと判断したのだろうと思います。

1つ目は、アメリカの原発を売れるという事。
2つ目は、確かに原発で得られるプルトニウムを加工すれば核兵器を開発する事は可能ですが、1年程度はかかるため、対処する時間的余裕は十分ある事。
3つ目は、原発には、1か所あたり原爆数千〜数万発分※1の核分裂生成物、いわゆる死の灰がたまるため、それを攻撃すれば、いつでも日本を誰も住めない土地にできる事。

つまり、原発が日本各地にできれば、利益を得ながら、ほとんどリスクなく日本国民を人質に取れるようなものですから、アメリカにとっては好都合なのです。

今は、戦後66年経ちましたし、日本国民は人質にできていますから、中国の脅威に対抗するため、重い軍事費用の一部を日本に負担させようと、核保有を認める考えの人もアメリカの一部にはあるかもしれません。

しかし、それがアメリカ国内、日本国内でコンセンサスを得て、日本が核兵器を持つ事になる可能性はほとんどないでしょう。

アメリカと敵対し、その結果として核保有に至る事は前述の理由から、さらに可能性がないでしょう。

いつかは核兵器を保有し、自由に行動できる自主独立した国に、という幻想を抱いている人が一部にいるようですが、原発を持っている限り、絶対にそれは無理です。

では、抑止力はいらないのか。残念ながら、それほど世界の情勢は甘くないでしょう。
核兵器による抑止力は、アメリカにまかせるしかありません。

その替わり日本は、原発を確実に破壊する事が可能な通常兵器を装備すれば、 核兵器に近い抑止力を持つ事ができると思います。

核兵器は、大量の市民を殺戮する事で、国力をそぎ、戦意を喪失させるために使うものです。
原発を破壊すれば、大量の市民を殺し、土地を使用不能にすることになりますから、同じようなものです。

どちらも今後、実際に使用される事はないでしょう。その可能性をちらつかせる抑止力としてだけ存在意義がある兵器です。

そうであれば、コストが大幅に少なくて済む通常兵器で良いではないですか。

また、原発が破壊できるという事は、気付かれないうちに正確に的中し、貫通力がある兵器という事ですから、テロ組織の拠点を叩いたり、一般人への影響を極力抑えたピンポイント爆撃なども可能になります。

平和憲法を持つ日本が、外国に対して使う可能性は、現時点ではありませんが、大量殺人だけが目的の核兵器を持つ事よりは現実的ですし、敵対国に対し、いざとなったら、原発を破壊されたり、ピンポイントで攻撃されたりする可能性がある、と思わせる事ができれば、十分抑止力となるでしょう。

つまり、原発を推進することは、日本国民を人質にし、自主独立から遠ざかる道であり、抑止力としては、原発の破壊が可能な通常兵器を持ち、原発は廃止に向けて進んでいくのが、安全保障上有効な戦略だと思います。

※1 東京電力は4月12日の記者会見で、福島第一原発のすべての原子炉内の燃料、使用済み核燃料を合計すると、10の20乗ベクレル単位の核分裂生成物が存在した事をあきらかにしています。20乗は垓(がい)、すなわち京(けい)の1万倍、兆の1億倍です。
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2011年07月09日

原発は再稼働できるのか

 正直、2ヶ月位前までは、原発の再稼働が、ここまでの大問題になるとは思っていませんでした。

 一定の反発はあっても、現在異常が起きていない原発を動かす事にまで反対する声は、それほど拡がらないだろうと考えていたのです。

 しかし、現実には抵抗を感じている人がかなり多く、強引に動かそうものなら、暴動が起きてもおかしくないような雰囲気です。

 多くの国民がこのように感じているのではないでしょうか。

・まだ福島第一原発の事故が進行中で放射性物質が漏れているのに、再稼働は早すぎる。

・国の安全宣言は、本当に安全を確認したと言うより、再稼働ありきで、夏の電力需要に間に合うタイミングに合わせたようにしか見えない。

・一基動かせば、全部動かすに違いない。

・国が言う「安全だ」に何度もだまされた。信じられない。

・電力業界の隠蔽体質、危険を想定しない楽観主義がよく分かった。原発は任せられない。

・原発を全部止めても計算上、電気は足りる。

・もし節電が必要としても、我慢する覚悟はある。原発に頼るよりまし。

・高レベル放射性廃棄物の最終処分をどうするのか決まっていないのに、これ以上死の灰を増やすな。

・核燃料サイクルはどう考えても破綻しているのに、それを認めず進めようとする原子力業界に、正常な判断ができるとは思えない。


 この記事は、再稼働の条件を考えてみようと思って書き始めたのですが、これだけ挙げてくると、やっぱり再稼働は無理な気がしてきました。

 しかし、そうなると、脱原発はハードランディングどころか、墜落に近い急降下で、わずか1年で事実上達成という事になります。

 それもできなくはないでしょうが、気象条件や発電所のアクシデントによっては、本当に大規模停電が起きるリスクはあります。

 もし再稼働が認められるとしたら、次のような条件が必要かと思います。

■国として、年限を定めた脱原発を宣言する。

■核燃料サイクルの中止を決定する。

■運転開始から30年以上経過した原発の即時停止、廃炉を決定する。

■本格的なストレステストの実施を決定した上で、暫定的に、多くの国民が納得できる厳しい条件をクリアした原発に限って再稼働し、条件を満たせない所は廃炉を決定。改修で対応できる所は、それが済むまで稼働しない。


ここまで速やかに決定した上で、

■再生可能エネルギー促進法を成立させる。(できれば買取価格、買取年数も法律に入れて)

■原子力関連予算は、廃炉や放射性廃棄物処理関連を除き大幅に削減し、再生可能エネルギーの開発・普及に回す方針を決める。

■原子力行政に関わる組織の大幅なスリム化、安全に関して独立して専門的に判断できる組織の創設を決める。


こうした方針を打ち出せば、国の脱原発、再生可能エネルギー普及への転換が確信でき、過渡的に一部の原発を稼働する事への理解を得られるかもしれません。

ただ、国民の原発に対する嫌悪感は相当高まっていますから、それでも駄目かもしれません。

そうなったとしても、国の脱原発の方針が確認できれば、電力会社も、原発をあきらめて、LNG火力を増設したり、地熱、風力、太陽光、木質バイオマス、小水力など、可能な限りのエネルギーをかき集める方向に転換できますから、早晩、電力不足は解消されるでしょう。

一時的には電気代が上がる可能性はありますが、原発にかけていたコストは削減できますから、そのうち下がっていくでしょう。廃炉の費用をどう負担するかによっては、電気代はすぐに安くなるかもしれません。
まぁ、電気代が上がるか下がるかは、為替の変動の方が、要因としては大きいでしょう。


原発の再稼働については、少なくとも、中途半端な説明で国民が納得する状況ではまったくない事は、政府も行政も理解した方が良いと思います。
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2011年05月07日

浜岡原発を止めてもピークをスマートに乗り切れる



 菅直人総理大臣は、昨日、中部電力に浜岡原子力発電所の原子炉全停止を要請しました。

 それを受けて、中部電力は、今日午後、臨時の取締役会を開きましたが、結論は明日以降に持ち越しとなりました。

 夏のピーク時に十分な電力が供給できるか、その為の燃料が調達できるかなどが検討されたようです。

 中部電力の今年度の電力供給計画を見てみると、最大電力需要は、2,560万kWと予想し、それに対して、供給力は、2,999万kWとしています。

 浜岡原発の361.7万kWがなくなると、供給力は2637.3万kWとなります。
余裕は77.3万kWと、あまりないという計算になります。

 実際には、この供給力にも一定割合、揚水力発電が含まれているものの、短時間であれば、さらに追加する事が可能です。

 また、浜岡原発は、駿河湾で起きた地震によって、2009年8月11日から9月17日まで全機停止していましたが、真夏であるにもかかわらず、特に節電が呼びかけられる事もなく、普通に過ごせています。

 例え、猛暑や水不足など、悪条件が重なったとしても、利用者に適切な情報を提供し、対策を考えておけば、乗り切れない事はないと思います。

 あらためて確認しておきますが、原発を止めて必要になるのは「ピーク時の電力需要を抑える」事であり、夏の冷房需要がピークとなる数日〜数週間(天候による)の午前10時〜午後6時頃だけ、気をつければよく、それ以外は普通に生活、操業して良いという事です。

 そこで、ピークを抑える対策について幾つか提案してみたいと思います。

【1】分かりやすく、効果的な情報提供

 東京電力が行っているように、ピーク時の電力供給力と、実際の電力需要を常時提供すれば、その情報を見て、各自が必要に応じて節電するでしょう。

 できれば、第一防衛線として「東京電力への電力供給ができなくなる」ライン、第二防衛線として「関西電力から電力供給を受ける必要が出てくる」ライン、そして最終防衛線として「ピーク時供給力」を情報提供してもらえれば、「人の役に立ちたい」「人に迷惑を掛けたくない」という気持ちが働きますから、電力需要がまだ少ない段階から、節電する動機付けになり、効果的でしょう。

【2】冷房需要の抑制

 夏に電力のピークが来る最大の理由は冷房需要の増大ですから、これをいかに抑えるかが大切です。

 私もこれまで、家庭用、事業者用に、きるだけ無理なく冷房を使わない、或いは使用時間を減らす方法をご紹介してきました。

 例えば、家庭用であればこれら。

「私のエコライフ」五回目〜エアコンなしで快適に(上)〜

「私のエコライフ」六回目〜エアコンなしで快適に(下)〜

「私のエコライフ」八回目〜エアコンを賢く使いこなす〜

 事業者用でしたらこちら。

環境ビジネス情報発信 コラム Vol.5「省エネ(1)空調対策」

【3】フレックスタイムの導入

 おそらく、【1】、【2】の対策を多くの家庭、事業所が行えば大丈夫だと思いますが、念のためこの対策もすれば、確実にピークを抑えられます。

 この一日の電気の使われ方をご覧になるとおわかりのように、午後0時〜1時の休憩時間、電力需要には谷ができます。

 そこで各企業が、始業時間を30分〜2時間程度、早く、または遅くして、休憩時間もそのままずらせば、谷が分散しますから、ピークがなだらかになります。

【4】計画停冷の実施

 それでもまだ不足するようであれば、「計画停冷」(造語です)をしてはいかがでしょうか。停電ではなく、地域を分け、計画的に短時間だけ冷房を止めるのです。

 一番単純なのは、愛知県とそれ以外(分け方はほぼ同じになるよう考えてください)といった二分割をして、ピークの時間だけ、片方が毎正時から30分間冷房を止め、もう一方が毎時30分から正時まで止めるのです。

 積極的に参加する人は、冷房だけでなく、テレビやパソコンなども一緒に止めるかもしれません。

 真夏に何時間も冷房を止めると命に関わりますが、30分ごとであれば、そこまで深刻な事態にはなりません。それに、停電している訳ではありませんから、どうしても苦しければ冷房を掛ければよいのです。

 開始時間、切り替わり時間には、テレビやラジオでも知らせると、協力を得やすいでしょう。

【5】町内避暑地の設置

 まずないと思いますが、それでも電力が不足するようなら、夏の日中、公民館、役所などの公共施設を、「町内避暑地」として開放すると良いと思います。

 各家庭が別々に冷房するより、集まった場所だけで冷房するほうが全体として節電になります。
それに、出かける時には、冷房だけでなく、テレビ、パソコン等他の電化製品も止めますから、効果が大きいでしょう。

 必要があれば、スペースに余裕がある店舗、地下街、オフィスビル等も協力すると良いと思います。

 ここまで考えておけば、まず安心です。
心おきなく、普段通りに生活し、企業は経済活動を行い、どうしても必要な時だけ、みんなで協力して、スマートに夏の電力ピークを乗り切りましょう。

 中部電力さん、安心して浜岡原発を止めてください。
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2011年03月27日

【提言】こうすればエネルギー危機を乗り切れる

 3月11日に発生した、東北地方太平洋沖地震と、その津波により、多数の火力発電所が破壊され、原発は停止。その上、福島第一原発が大規模事故を起こした事で、原発に対する信頼は失墜し、正常に停止した原発も、再稼働が社会的に許されるかどうかわからない状態となりました。

 東京電力、東北電力では大幅な電力不足となり、東京電力では地域を区切って順に停電させる計画停電を行って、何とかしのいでいる状態です。東北電力も、3月27日現在では実施されていませんが、必要に応じて計画停電が行われる予定になっています。

 また、この2社以外の管内でも、原発の新設はもちろん、増設や、停止中の炉の再稼働に対しても反対の声が上がる事でしょうし、今は一部にとどまっている、稼働中の炉の停止を求める声も、今後の事故の進展によっては大きくなっていくかもしれません。

 一方、石油も価格が高騰しています。
簡単に掘れる油田が減って、生産量が伸びない中、新興国を中心に需要が急増し、供給不足となる「ピークオイル」が近いとされ、昨年末には1バーレル90ドルまで上昇していました。

 さらに中東地域で政情が不安定になり、価格上昇が加速、現在NY市場で1バーレル105ドルとなっています。

 これからも原油価格の上昇傾向は続くでしょう。

 原発も駄目、石油も駄目となると、もう昔の生活に戻るしかないという声も聞かれますが、他に方法がないならまだしも、日本は今まで十分な取り組みをしてこなかった分野が多々あります。

 今こそ、抜本的な対策をして、持続可能な国に切り替えていく時なのです。そこで、その為に必要な様々な提言をさせて頂く事にしました。
早く声を上げた方が良いと考えたため、吟味が足りない部分もあるかもしれませんが、少しでも、エネルギー危機の打開、社会の変革にお役に立てば幸いです。

基本コンセプト 「日本をグリーンエネルギー大国に」

 まずはエネルギー不足を何とかするという、緊急避難的な対策が必要ではありますが、それと同時に、長期的な視野に立ち、将来にわたってエネルギーを得て行く事を考えると、再生可能エネルギー=グリーンエネルギーに変えていくしか道はないのですから、その取り組みを今から進めていこうと言うことです。

 最初はコストはかかっていきますが、普及が進んでいけば、効率も上がっていきますし、海外から高い燃料を購入する量が減っていきますから、社会全体でかかるコストは減っていきます。

 そして、グリーンエネルギーの生産を新産業として立ち上げることができれば、機器やエネルギー自体を輸出することも可能になっていき、再び活力あふれる日本にできる事でしょう。

【1】余剰電力の買い取りを義務づけ、買い取り価格を引き上げる

 まずは、電力不足への即効性のある対策として、自家発電施設を持っている企業などから、自ら消費する分を除いた、余剰電力を、1kWhあたり20円で電力会社が買い取るよう法律で義務づけます。

 今は非常事態ですので、JR東日本から供給を受ける事もしているようですが、通常、電力会社は余剰電力の買い取りはしないか、しても非常に安い価格に抑えます。

 ですから、普通、企業は必要以上の発電はしないですし、休みの日には止めてしまいます。
しかし、電気が確実に買い取ってもらえ、買い取り価格が高ければ、いつもフル稼働させるでしょう。

 新たに、自家発電に取り組む企業も増えるでしょうし、より大きな発電能力を持つ設備を導入しようとするでしょう。

 また、現在、家庭用燃料電池やコージェネレーション設備も、電気を買い取ってもらえないため、電気を余らせないよう、非常に非効率的な運転をしいられていますが、これも、買い取りを義務づけるべきと思います。

 余剰電力の買い取りは、基本的に24時間が良いと思いますが、夜間、余った電気で水を貯めて、昼のピーク時に発電している、揚水式、貯水池式等の水力発電の容量で吸収できなくなれば、6時〜22時など、時間を区切っても良いでしょう。

 これらの措置は、電力不足が深刻な東京電力、東北電力管内に限っても良いかもしれません。

 財源は、東京電力の場合で100億〜250億円と言われる広告費の大幅削減など、内部の努力で賄ってもらいます。

 足りなければ、一般会計、特別会計で約5500億円にのぼる、国の原子力関連予算の内、廃棄物関係、安全対策関係等、必要最低限を除いて不要になる、原子力推進予算の一部を回します。

【2】グリーンエネルギーの買い取り価格を大幅に引き上げる

 上記は主に従来型の化石燃料を利用した自家発電の場合ですが、グリーンエネルギーの場合はさらに優遇します。

 今のところ、2012年からとされている、再生可能エネルギーの全量買取り制度を、準備ができしだい、即導入します。

 しかも、買い取り価格を東京電力、東北電力管内は1kWhあたり60円、その他の地域は1kWhあたり50円にして、5年間は固定します。

 その後は、電力需要に占めるグリーンエネルギーの割合が十分高くなった段階で、安定供給、発電量調整がしやすいものは高く、不安定な物は安くしていきます。

 買い取り金額をいくらにするかは、このエネルギー不足解消にどこまで腹を決めて取り組むかにかかっています。

 今回の福島第一原発の事故では、一体何兆円の損害が出るかわかりませんし、原発の近隣地域の方々はもちろん、離れていても、いつ悪化するかわからない原発の不安定な状態、実際に拡がっている放射能汚染などによって、何千万人という人達が影響を受け、精神的苦痛という、金額に換算できない損害を長期間にわたって受けています。

 原発がいかに高くつくものなのか、まざまざと見せつけられています。

 他にも、抜き差しならない状態になっている、「高速増殖炉もんじゅ」、1kWも発電するわけではないのに莫大な費用がかかる、「六ヶ所再処理工場」、最終的にどこにどうやって処分するのか決まっていない「高レベル放射性廃棄物」など、原発に関しては問題が山積みですが、取りあえず今の福島第一原発の事故の影響を指摘するだけでも十分でしょう。

 こんな目に二度と遭わないために、社会がどこまで費用をかけるかという問題です。

 買い取り価格が高ければ高いほど急速に普及しますが、コストはかかっていきます。

 この費用を電気代に上乗せするのか、環境税(炭素税)で賄うのか、国債を発行するのか、それらを組み合わせるのかは議論をして決めればいいですし、費用が増えた段階で財源を追加していってもと思います。

 上記の原発関連予算の削減分も使えるでしょう。

 もし電気代が上がることになっても、今言われているような、節電を促すための単純な値上げに比べればずっと良いと思います。

 単なる値上げは、市民や企業の負担で、電力会社の経営を強化するだけの話です。何ら新たな展望もイノベーションももたらしません。

 ちなみに、この従来の発電費用と買い取り価格の差額は、電力会社が独自にグリーンエネルギーで発電した場合でも受け取れるようにした方が良いと思います。

 違和感を感じる方もあるかもしれませんが、これまで電力会社がグリーンエネルギーに消極的だったのは、電力会社に、デメリットしかなかったからですが、差額をもらえる制度にすれば、自社でも積極的に取り組むメリットが出てくるからです。

 以下に、特に期待できるグリーンエネルギーを挙げてみます。

(1)木質バイオマス

 日本は、自国の多くの森林を放置しながら、木材輸入量が世界一というアンバランスな状態です。

 これまでも木質バイオマス発電は小規模に行われていましたが、採算を取るのが大変でした。

 高い価格で電気を買い取ってもらえるようになれば、各地に爆発的に1万kWを超えるクラスの木質バイオマス発電所ができるでしょう。

 ただし、ハゲ山になっては困りますから、グリーンエネルギーと見なすのは、間伐材や端材等を使った場合で、皆伐した木材を使う場合は、一定期間内に植林する事を条件にした方が良いと思います。

 ざっと計算してみましたが、少なくとも400万kw程度の発電を賄う量の人工林の木(蓄積量26億5000万立方mの内、1億立方m)を毎年切っても問題なさそうですし、非常事態という事を考えると、一時的にもっと切っても良いと思います。

 これで一気に林業も再生され、各地の荒れた森林も整備され、花粉症も軽くなるでしょう。


(2)地熱発電

 日本には、電力需要の3割程度は賄えると見られる地熱資源がありますが、これまでほとんど放置された状態でした。

 莫大な環境破壊を引き起こした原子力発電と引き替えである事を鑑み、自然公園法を見直して、公園内でもグリーンエネルギー施設の設置に関しては、一定の環境配慮を行うことを条件に大幅に緩和します。

 また、地熱発電によって近隣の温泉業者が影響を受けた場合に備え、国が基金を作るか、損害保険を掛けて、地元の理解を求めます。

 さらに、熱水や蒸気がなくても、高温の岩が地下に存在すれば可能である、高温岩体発電も進めます。

(3)水力発電

 ダムを新設する事は大変ですし、一定の環境破壊も招きます。

 そこで、既設の別目的のダムや調整池を水力発電兼用にしたり、すでにある施設を増強したりします。

 また、極力揚水機能をつけ、夜間の電力を(位置エネルギーとして)貯められるようにします。

 さらに、中小河川や用水路等を利用した小水力発電も、規制を大幅に緩和し、導入しやすくします。

(4)太陽熱発電

 太陽熱を鏡で集めて、1000度以上の熱を作り、その熱を溶融塩に貯め、24時間安定して発電する技術があります。

参考:日経ビジネス「太陽熱が示すガラパゴス化の危機」

 断熱タンクに熱が溜まっている限り、曇っても夜になっても発電できます。そのため、世界的には、今後のエネルギーの主役として期待されています。

 日本でも取り組んでいる会社があり、すでに東京でも57kWの発電に成功しています。

JFEエンジニアリング株式会社・三鷹光器株式会社
「太陽熱発電プラント事業に本格参入」

 この技術の潜在能力は大きく、高温の熱ができると言うことは、プラントを大型化すれば、発電はもちろん、高温の蒸気や暖房熱、さらには、吸着式や吸収式の冷凍機を使って、冷水や冷気を作る事もできるわけです。

 その気になれば、エネルギー的に独立した地域を作ることも可能です。

 これは日本のエネルギーを支えるだけでなく、熱を利用した海水の淡水化などにも利用でき、世界にも進出していける技術です。

 通常の買い取り価格による誘導だけでなく、開発や導入促進にも、十分な国費をかけて良いと思います。

(5)バイオオイル

 藻類が作り出す油を大量生産する研究が進んでいます。
昨年、これまで有力とされてきた種類と比べ、油を10倍以上の効率で作り出せる藻類が発見されました。

 筑波大学大学院の渡邉信教授によると、この藻類を効率よく生産すれば、日本の耕作放棄地の約5%を使うだけで、日本の石油需要を賄えるという事です。

 もっとも理想的に資金やサポート体制が整った場合、6年〜10年で日本の需要を賄うところまでいけるとの事。

 詳しくはこちら。


※右下のYouTubeのマークを押すと、otomiECOtvチャンネルに移って、ハイビジョンも含む大きな画面でご覧になれます。

 今すぐの発電には使えませんが、石油の代替ができるということは、火力発電所をはじめ、ガソリンスタンド、内燃機関の自動車、プラスチックの生産設備等が、ほとんどそのまま使えるということです。

 この潜在能力の大きさ、実現後の市場の大きさを考えれば、これも十分な国費、人材を投入し、強力に推進する価値があると思います。

(6)風力発電

 風の条件によるので、安定性、出力調整の容易さでは(1)〜(5)よりは劣りますが、コストが比較的安いですし、規模が大きくなれば安定し、ある程度予測もしやすくなります。

 また、部品点数1万点と言われますので、純国産化を進めれば、一定の経済効果が期待できます。

 洋上風力発電が有望ですが、陸上でも適地は多くあります。
地熱発電と同様、自然公園内での設置用件を緩和する事が必要です。

 また、低周波が問題になるケースがあるので、近くに民家がある場合、立ち退きや距離に応じた補償の制度を整備する必要があるでしょう。

(7)太陽光発電

 太陽光発電は、昼間しか発電できず、制御もほとんどできないため、余り質の良いグリーンエネルギーではありませんが、これまで産業育成のため優遇してきた経緯もあります。

 また、個人が参加しやすいグリーンエネルギーですし、停電時に自立運転にすれば、ある程度の電気を賄えるメリットもありますので、これも推進すれば良いと思います。

 この他にも、バイオガス、波力、潮力発電等もあります。


【3】大型火力・原子力発電施設に、総合効率を50%以上にするよう義務づける

 下の資料の「我が国のエネルギーバランス・フロー概要」をご覧になるとおわかりのように、せっかく投入された発電用燃料が持つエネルギーの6割は、熱として大気や海、川に捨てられています。

 エネルギー白書2010

 それは発電用エンジンやタービンの効率が悪いからです。
すでに廃熱も利用するガスタービンでは60%を達成しているものもありますが、まだ効率が悪い物もあるため、出力10万kW以上の高出力火力・原子力発電設備を対象に、5年以内に、総合効率を50%以上に高めるよう義務づけます。

 古い発電設備を更新しても良いですし、熱供給をしても良いでしょう。また、バイナリー発電という技術もあります。

 火力発電所や原子力発電所は、高温で水を蒸発させ、その蒸気で発電する、いわば蒸気機関なわけですが、水よりも沸点が低い、アンモニアやペンタンといったものを利用し、水蒸気で発電した後の、低い熱でも発電できるのが、バイナリー発電です。

 水と、低沸点物質の二重の循環ができるので、「バイナリー」発電と言います。

 これまで、主に地熱発電の効率を高める方法として検討されていきましたが、廃棄物発電施設でボイラーの蒸気を使って発電している例(参考資料 3-1-33)もあります。


 日本では、富士電機ホールディングスが、2000kWのバイナリー発電設備を、地熱発電や太陽熱発電用として発売しています。

 海外では、2万kW(参考資料 3-1-23)といったクラスのバイナリー発電施設も稼働しています。

 こうした技術を使えば、総合効率50%は達成できるはずです。



 現時点で思いついたアイディアをまとめてみました。
 これらの方策を実施し、この大災害、大事故をきっかけに、日本がグリーンエネルギー大国へと飛躍して行くことを期待します。

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2011年03月17日

国が言う「健康に影響がない」を信じて良いか

 3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震による福島第一原子力発電所の事故の影響が拡がっています。

 現在の各地の放射線量は、Googleマップを使って、「放射線測定ネットワーク」という地図を作りましたので、参考にしていただければと思います。

 国は、福島第一原発から30km圏外の各地で観測されている放射線量について、「健康に影響がない」と繰り返しています。

 しかし、「チェルノブイリの時は、普段の数十倍でも、雨に濡れるなとか、露地物の野菜は良く洗ってと言っていたのに、今回は、普段の数百倍、数千倍で、影響がないと言っている。信じられるのだろうか。」と疑問をお持ちの方もおられるでしょう。

 疑問はごもっともだと思います。

 国が言っているのは、統計上放射線による障害が出始める20万マイクロシーベルトや、CTスキャンを受けた時の6900マイクロシーベルトに比べれば、非常に少ないので、「健康に影響がない」と言っているのです。

 しかし、国は、自然に浴びる量や医療のため仕方なく浴びる量を除いて、1年間に一般住民が浴びる放射線量の限度として、1000マイクロシーベルトという値を設けています。

参考:放射線量のスケール(単位は1000倍のミリシーベルト)

 これを1時間の値に直すと、約0.11マイクロシーベルトになります。これに平均的な自然界の放射線量0.05マイクロシーベルトを加えると、0.16マイクロシーベルト。

 つまり、継続してこれ以上の放射線を浴びると、年間の限度量を超えてしまうわけです。

 現在、福島では継続して数十マイクロシーベルトを記録している所もあります。北関東でも、0.16を超えている所がかなりあります。

 私は、これらの地域では、現時点で避難までは必要ないとしても、外出時にできるだけ放射能を帯びたチリを体内に吸い込まないように気をつけたり、食物と一緒に口に入れたりしないよう、日常生活で気をつけるよう呼びかける必要があるのではないかと思います。

 本当は国や自治体が正式に呼びかけるべきだろうと思いますが、厚生労働省ですら、放射性物質については、Webをみてもイソジンなどを飲んでも効果がない事を注意喚起するリンクがあるだけという状態では期待できないかなと思います。

 と書いて再度確かめたら、「放射能汚染された食品の取り扱いについて」という通知がでていました。

 ちなみに、現在、輸入食品については、セシウム134と137を加えて1kg当たり370ベクレルが限度となっていますが、今回、放射性セシウムについて見ると、飲料水や牛乳、乳製品は200ベクレル、それ以外の食品が500ベクレルとなっていて、やや高めかなと思いますが、高すぎることはない気がします。

 なお、放射線量が上がった場合に気をつけることについては、以下のようなサイトが参考になると思います。
どこまでやるかは、その時の放射線量によって各自の責任で判断してもらうしかないかと思います。

放射線医学総合研究所 一般的な除染の方法(水が利用できる方へ)

緊急被ばく医療研修のホームページ

放射性物質の正しい知識を知って対策を NAVERまとめ訂正
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2010年08月30日

デフレから脱却する方法



 日銀が30兆円の資金供給を決めましたが、市場は円高で反応しています。当然でしょう。
すでにお金が余っている状態で、単純にお金を追加してもたいした効果は期待できません。

 円高対策、デフレ対策について、なかなか、「これだ!」と思う提案に出会わないので、専門外ですが私の考えを書いてみます。

 円高もデフレも、他の通貨や物に対して、円通貨の価値が高いと評価されている事が問題なわけです。現状、資金供給しても、銀行は、企業への融資ではなく、従来通り、国債などに回してしまうので、なにも変わりません。企業の設備投資や個人の消費に結びつくような形の資金供給をしなければ、変化はないでしょう。

 要するに高いものがどんどん売れるようになれば、デフレから抜け出せます。また、物が高くなれば、相対的に通貨の価値が下がっていくことになるので、円高も是正されると思われます。

 では、高いものが売れるにはどうすればよいでしょうか。
手元の資金に余裕があれば、企業は良い設備を買うでしょうし、従業員の給料も上げるでしょう。
給料が上がれば、高い物やサービスにお金を使う人が増えてくるでしょう。

 お金が余っているのに、どうして企業は資金に余裕が無いのでしょうか。それは、金融機関がリスクを取らないからです。しかし、金融機関に自己責任でリスクを取れというのは、なかなか難しいと思われます。

 では、どこがリスクを負えばいいのでしょうか。私は、国しかないと思います。

 そこで、「環境関連など成長が見込める分野を対象に、思い切って50兆円位の無担保、低利の融資を国が保証」する政策を提言します。

 国が保証すれば、金融機関も安心して企業に融資できるでしょう。実際に国から支出されるのは、事業に失敗した場合だけですから、国の財政負担より、税収増の方が多くなると思います。

 多少破綻する事業があっても、それは市場で使われるお金ですから、経済対策としては意味がある、と割りきって考え、審査は緩くしていいと思います。むしろ、審査を緩くすることが大切です。今は、リスクが少ない企業でないと融資を受けにくくなっています。

 何より、日本を、事業拡大、新規事業立ち上げがしやすく、失敗してもすぐまた挑戦できる国にする事が大切でしょう。現状のままでは、決してそんな国にはなりません。誰もリスクを取りたがらないからです。

 デフレから抜け出し、円高を是正し、日本を再生するには、国がリスクを取って、日本企業、日本国民の挑戦を支援する姿勢をはっきり示す事が重要だと考えます。
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2010年02月24日

国の将来を見据えたビジョンが必要

 経済産業省が、インターネットを通じて国民から意見を募集し、政策議論を促進しようと、アイディアボックスというものを開設しました。

 テーマの一つに、「地球温暖化問題に対するIT技術の貢献」があり、私も、アイディアを投稿しました。

 IT分野をどうするかの前に、国としてのビジョンを定める事が必要と考え、総合的な提言としました。

 以下に掲載します。この提言に対する賛否は、アイディアボックスの方で投稿していただけると嬉しいです。

国の将来を見据えたビジョンが必要

IT分野については、機器台数の増加が目に見えていますから、省エネ対策も重要と考えます。

しかし、日本は省エネにばかり、目がいきすぎていると思います。

化石燃料は、資源の減少による価格高騰や、国際情勢等により環境税をかけざるをえなくなるなどの、リスクが高いエネルギーです。

また、原子力は立地の問題があります。

いずれにしても、将来にわたって、安心してエネルギーを使っていくには、再生可能エネルギーの割合を高めていくしかないと思います。

安定供給が可能で、出力のコントロールも可能な、地熱、太陽熱(蓄熱により夜でも雨でも発電可能)、バイオ燃料を、これからのエネルギーの中心軸に据える事が必要と考えます。

昼間のピーク対策や、総出力の底上げのため、一定割合まで、風力、太陽光、潮力、波力、小水力等も普及をはかる方が良いでしょう。
エネルギーの最適配分のためには、スマートグリッドも有効かもしれません。

日本の全エネルギーをまかなえる資源もあり、技術もあるのですから、普及を進める仕組みを作るだけです。

大切なのは、やれば確実に儲かり、やらなければ損になる制度を導入することだと思います。

その為にエネルギーコストが上がる事は、将来のリスクを減らすためですから仕方ないと思います。

屋根も壁も地下も敷地も、すべて使っても損になる一部の家、企業等に対しては、何らかの助成が必要かもしれません。
その原資として環境税をかけるのも一つの考えだと思います。

とにかく、やれるのにやらないのは損だ、と思う状態を作ることが大切だと思います。

こうした仕組みができれば、爆発的に普及が進むでしょう。もし、再生可能エネルギーが25%になれば、エネルギーの消費量が同じでも、つまり、なんら生活も企業活動も変えなくても、CO2を25%削減できる計算になります。(厳密にはもう少し余裕が必要でしょうが)

実際には省エネも進めた方が目標達成が早まるでしょうし、必要となる再生可能エネルギーの量も抑えられるので良いのですが、日本の現状を見ていると、あまりにも、省エネと、太陽光発電にばかり力を入れて、他の再生可能エネルギーをおろそかにしすぎていると思います。

エネルギーの不安におびえながら細々と暮らすのか、不安を減らして、技術立国として再発展を目指すのか、国の将来を見据えたビジョンが必要だと思います。


 この提言に対する賛否は、アイディアボックスの方で投稿していただけると嬉しいです。


※3/1 「その他のIT政策」にカテゴリーが移動されました。
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2009年04月11日

太陽光発電システムが故障して考えたこと2

 太陽光発電システムが故障して思い出した、もう一つのニュースは、中国の最大手太陽光発電メーカー、サンテックパワーが、日本で本格的に販売攻勢をかけるにあたって、25年保証を付けたことです。

 日本のメーカーの保証は10年が多いのですが、太陽電池パネルの寿命の長さを考えると、もっと長く保証してもらえると安心だと思います。

 ただし、今回記事を書くに当たって、サンテックパワーのWebサイトを確認すると、出力90%の保証が12年、80%の保証が25年ですが、コネクターやケーブル等、その他の部分の保証は5年しかないようで、もしそうだとすると、今回の我が家のケースでは、保証外となってしまいます。

サンテックパワーの保証内容
http://www.suntech-power.com/en/images/STP-WA-STD-E01.01_Rev_2008_English.pdf

 まぁ、日本での実際の販売は、買収された日本の中堅メーカーMSKが担当するので、MSKが弾力的運用をするかもしれません。

 我が家のケースは2001年の設置から10年以内で、設置工事やシステム全体もあわせた保証の期間内なので無料でした。

シャープの保証
http://www.sharp.co.jp/sunvista/product/ten_secure.html

 しかし、2011年以降の事を考えると、ちょっと不安になりました。今回程度のメンテナンスであれば、有料でも数万円でしょうが、もしパネル交換となると、かなりの出費が予想されます。

 個人で損害保険を掛ける事もできるかもしれませんが、できればメーカーが、有料で構わないので、トータルの保証を延長する制度を設けてもらえると良いのですが。

 購入後10〜15年後に想定される、直流を交流に変えるパワーコンディショナーの修理にも対応できると安心です。

 これから、設置後10年経過するケースがどんどん増えていきますし、購入を検討している人も、長期保証のオプションが用意されていると安心して買えるでしょうから、ニーズはあると思います。

 メーカーさん、いかがでしょう。
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2009年04月10日

太陽光発電システムが故障して考えたこと1

 昨日の記事の続きです。

 今回の太陽光発電システムの故障で、私は2つのニュースを思い出しました。

 一つは、ネクストエナジー・アンド・リソースという会社が、1980 年代の太陽光発電パネルを再々利用して、リユースパネルを発売するというニュースです。

ネクストエナジー・アンド・リソース社のリリース
http://www.nextenergy.jp/newsr.php?pr=11

 1980年代に、国のサンシャイン計画の一環として、静岡県浜松市で、研究開発実証実験設備として使用された後、1989年に、和歌山県白浜町の遊園地『白浜エネルギーランド』に移設されて稼働してきた太陽電池パネルが、同社によって、再々利用される形でリユースされ、発売されるとのことです。

 約25年前のパネルだそうですが、1700枚のうち、点検が終わった300枚中、90%以上が、定格出力の80%以上をキープしているそうです。

 太陽電池の寿命の長さが改めてわかります。

 時間が来たのでもう一つのニュースはまた。
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2009年04月09日

太陽光発電システムが故障

 えっ!売電量が少なすぎる。と異常に気づいたのは、昨年12月分の売電量が載った電力会社からのお知らせを見た時でした。

 前年までの同月と比べて3〜4割も少ないのです。

 12月はそんなに日照が少なかったっけ。と思い、気象庁のWebサイトで日照の記録を見ても、特に少なくはありません。

 おかしいとは思いながら、少し様子をみてみましたが、やはり翌月も明らかに少ないため、施工した業者に連絡しました。

 すぐにメーカーのサービスから連絡があり、訪問してもらう日を決めました。

 まずは症状、原因の確認です。
パネルの見た目や、直流を交流に変えるパワーコンディショナーの様子を確認したり、宅内の表示板のカバーをはずして何かの数字を分析したりした上で、「4系統ある内、1系統から電気が来ていない」ということが判明しました。

 そして日を改めて、先日、実際に屋根に上がって修理してもらいました。

solar2009040601.jpg

 もし、パネル自体に異常があった場合に備えて、交換用のパネルも用意されていました。

solar2009040602.jpg

 数時間後、降りて来られ、作業が完了したとの事だったので、原因を聞いてみると、一か所、差し込みが甘かったのか、接触不良が起きている所があったとの事。

solar2009040603.jpg

 せっかく屋根に上がったので、この機会にすべてのパネルや接続か所等を確認した所、他に異常はなかったそうです。

 宅内の表示板を見てみると、無事、通常の発電量に戻っていました。

 私は、今回の故障や、最近の動きで考えた事があるのですが、それはまた後日。
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2009年03月15日

2020年までにCO2を24%削減。無理だと思いますか?

 先日、共同通信などが伝えたように、京都議定書以降のCO2削減目標について、EUは、世界の平均気温の上昇を2度以内に抑えるため、2020年までに自らは30%削減、日本、アメリカは24%削減が必要という試算をしたそうです。

 これは1990年レベルに比べてですから、削減どころか、2007年には8.7%増えている日本や、17.1%も増えているアメリカは、もっと数字が大きくなります。1990年の排出量を基準にして、日本は、32.7%、アメリカは、41.1%削減する必要がある事になります。

 しかし、大変な削減が必要なアメリカ国民の意識はというと・・・



 まあ、日本でも、いまだに環境トンデモ本などを信じて、温暖化してないとか、してもたいした問題ではないと考えている人が結構いますが、40%もいないように思います。

 これでは、大幅削減なんてとても無理、と思いますか?

 しかし、それはCO2削減、イコール縮小、節約と考えるからです。
例えば、車に乗る距離を30%減らせとか、冷暖房をかける時間を30%短くしろとか、それを全国民に強いるなんてとても無理でしょう。

 でも、車の30%がバイオ燃料で走るようになったり、化石燃料が原料でない水素で走る燃料電池車になっても、同じように30%削減になります。(厳密には燃料生産のCO2も計算する必要はありますが省略)

 現在の化石燃料による火力発電の30%が再生可能エネルギーに切り替わっても同様です。

 ライフスタイルを大きく変えなくても、エネルギーを変えていけば、大幅削減は可能なのです。

 もちろん、できるだけ多くの人が、環境意識を高め、省エネの努力をすれば、それだけ早くCO2を削減できますから、意識改革は大切ですが、全員の意識を変えることは無理だと思っています。

 一定の割合の人たちは、快楽に打ち克つことは難しいと思うからです。

 例えば、わかりやすい例で言えば、寿命が短くなると分かっていても煙草をやめられない人たちや、食事の量を減らせない人たちです。いわば、命がけで快楽を選んでいる訳です。

 煙草をやめたり、腹八分に抑えて健康な体になれば、長生きできると分かっていても、目の前の煙草、おいしい食事という快楽を選んでいるのです。

 もちろん、喫煙者やメタボな人が環境破壊者だと言っているのではありません。喫煙者やメタボな人でも一般的な水準より省エネな生活をしている人はいるでしょう。

 そういう事ではなく、ある分野で見ると、一定割合、快楽に勝てない人がいる以上、環境意識にだけ頼った方法では限界があるということです。

 歩いて行けるのに車を選んでしまう人、夏は28度、冬は20度という控えめの冷暖房では我慢できない人はいるわけです。

 そういう快楽を優先する人達に、数百年後にも人類が生きていられるように省エネしよう!と呼びかけても、聞く耳を持ってもらえるでしょうか?

 でも、地球の空気は一つなのです。環境意識の高い人達だけ、一所懸命省エネしても、全くしない人達が出したCO2のつけは、全員にのしかかってくるのです。

 そう言う意味では、自分の健康に関係する喫煙や食べ過ぎに比べ、全人類に関係してくる、省エネしないという行為は罪が重いわけですが、だからといって、全員の行為を規制する事はできません。

 だからこそ、私は、エコ・ゴージャスと言うライフスタイルを考え、講演などでご紹介しているわけです。

 知恵と技術の両方を使って、効率を上げ、快適性をできるだけ保って、場合によっては、自分もトクをしながら、環境負荷を減らすこの方法なら、環境意識が高くない人でも可能だからです。

 より多くの人が取り組んでこそ、環境対策は効果が上がるのです。

 私がここのところ提唱している、再生可能エネルギー革命も同じような考え方が底流にあります。
(流れ全体は2008年12月27日の記事からご覧下さい。)

 エネルギーが再生可能なものに全面的に切り替われば、ライフスタイルを大きく変えることなく、化石燃料の使用量をゼロにできるわけです。(プラスチックもバイオプラスチックにする必要がありますが)

 変えないどころか、より豊かで、便利な社会に発展していく事も可能になります。

 私は、快楽を求める事は、人類の進化を促してきた面もあると思います。より快適に、楽に、便利に、という思いが、科学技術を発展させ、豊かな社会を作り出す原動力になってきたと思うのです。

 時々、人類の発展はもう十分、現状維持でいいという人がいます。
私は、この考えには賛成できません。日本や先進国に住んでいるからこのように考えるのでしょうが、世界的に見ると、科学技術の恩恵を十分に受けているのはごくわずかな人たちだけです。

 まだまだたくさんの人たちが、もっと豊かな暮らしがしたいと思っているのに、資源を使うな、エネルギーを使うなというのは酷な話です。

 ですから、今の環境問題に対するアプローチも、欲望を抑える方向だけの対策ではうまくいかないと思っています。

 環境を犠牲にするのではなく、共生できるように進化の方向を変えるだけで、生活レベルは落とさない、できれば向上させる方向でなければ、全世界が合意するのは難しいように思います。

 再生可能エネルギー革命なら、それができます。

 早くはじめれば、2020年までのEUの試算をクリアすることも十分できると思います。

 あなたは、生活レベルを30%削減する方法と、効率UP+再生可能エネルギーへの転換で生活レベルを落とさずCO2を30%削減する方法、どっちがいいですか?

 それとも、削減しない、破滅への道を選びますか?でも地球は1つです。そんな人たちの道連れになるのはごめんです。
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2009年03月10日

環境、経済の未来予想図6

 先日からの続きです。(流れ全体は2008年12月27日の記事からご覧下さい。)

●再生可能エネルギー革命が実現した場合

○貧富の差

 私が提言で書いたように、現在貧しい国には、エネルギーを輸出できるよう、再生可能エネルギー関連設備を整備し、経済力のある国には、エネルギーの輸入が必要な程度しか整備しないようにすれば、国、地域間の貧富の差は縮まるでしょう。

 そして、これまで購買力が小さかった国、地域が豊かになることで、世界的に見て市場が拡大し、世界全体の経済、雇用が拡大していくでしょう。

○温暖化の影響

 グリーン ニューディールを徹底する場合より、格段に早く再生可能エネルギーへの転換が完了する為、温暖化の悪影響を最低限に抑えられるでしょう。

 それでも、数百年に渡って温暖な状況は続き、海面上昇も続きますが、壊滅的な被害を受ける地域を可能な限り抑えることができるでしょう。


 このように比較してみると、国際連合再生可能エネルギー基金が設立され、再生可能エネルギー革命が実現した場合、経済、雇用、環境など、様々な面でメリットが非常に大きい事が分かっていただけると思います。

 私としては、できれば、このアイディアを日本発で、国際社会に訴えていただきたいと思っています。

 これまで、他の面でもよく見られることですが、環境問題でも、国際的な枠組みはヨーロッパ主導で作られ、それにアメリカがどう反応するかを見て、日本の方針を決めていくという構図が多いように思います。

 ここのところ、温暖化対策に消極的だったアメリカが、オバマ政権になって、急に積極的に変わったため、日本も慌てて方針転換しようとしています。

 それでも変えないよりはましですが、国際的にはかなりみっともない状況です。

 しかし、国際連合再生可能エネルギー基金設立のアイディアを、日本発で国際社会に訴え、それが実現すれば、周回遅れから、一気にトップグループに出て行くことができると思います。

 このアイディアでは、変化について行く気さえあれば、基本的に大きく損をする国、地域はありませんし、多くの企業にとっても有利で、一部、一時的に苦しむ企業はあっても、現状を放置するよりはましな場合が多いですから、このアイディアの実現に尽力すれば、日本は、国際的に感謝され、賞賛されるでしょう。

 問題は、どうすれば、そのような動きになるかですね。

 政治は先行きが見えない状況ですし、頼りは官僚でしょうか。
しかし、巨大な組織が動くには相当な動機が必要です。

 トップクラスの人がたまたま私の提言を読んで、賛同してくれる奇跡を待つ?

 メディアで取り上げてもらえれば、チャンスは広がるでしょうが、それには、本を書いて、ベストセラーになるとか、余程話題になるような事をしないといけないでしょう。

 まあ、継続は力なり。地道にできる事を続けていきます。

 しばらく頑張っても日本発が望めないようなら、英語に訳して、国際的に協力を仰ぐ方法も考えます。
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2009年03月09日

環境、経済の未来予想図5

 先日からの続きです。(流れ全体は2008年12月27日の記事からご覧下さい。)

●再生可能エネルギー革命が実現した場合

○経済、雇用への影響

 国際連合再生可能エネルギー基金(UNREF)が設立され、特例による無限の予算で、国、地域を通じて再生可能エネルギー関連設備等の建設、バイオ燃料の生産等が大量発注されれば、国、地域が独自の限られた予算で行う、呼び水的な政策とはケタ違いの量になるでしょうから、即時に経済、雇用に好影響を与えることができます。

 それでも、グリーン ニューディールを徹底する場合と同様、当初、活況を呈するのは限られた分野でしょう。

 しかし、無限の予算と国連主導という信用から、企業は持てる力の最大限で生産能力を高める事が期待できますし、様々な分野から新規参入も相次ぐでしょう。

 提言に書いたように、国際入札可能な全世界の生産力の9割程度を目安に発注するようにすれば、爆発的に発注量は増えるでしょうから、グリーン ニューディールを徹底する場合の何倍、場合によっては10倍以上の速度で、化石燃料から、再生可能エネルギーへの切り替えが完了するでしょう。

 そうなれば、3月4日5日の記事にも書いたように、ほとんど温暖化の心配をすることなく、製品開発、サービスの徹底等ができるようになりますから、幅広い産業が大いに発展し、雇用も拡大していくでしょう。

 また、こうした投資は、国際連合再生可能エネルギー基金のバーチャルな予算が元になっていて、国、地域の予算ではないので、国、地域が巨額の債務に苦しむ必要はありません。

 それどころか、国有、または業務委託した再生可能エネルギー施設によって生み出された電気、水素、バイオ燃料等が、国、地域に巨額の収入をもたらしますので、累積債務の返済や、福祉、教育、社会資本整備等、他の分野に潤沢な予算を回すことができるようになるでしょう。

 続きはまた。
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2009年03月08日

環境、経済の未来予想図4

 先日からの続きです。(流れ全体は2008年12月27日の記事からご覧下さい。)

●グリーン ニューディールを進めた場合

○経済、雇用への影響の続き

 グリーン ニューディールを徹底する方法のもう一つの問題は、粘り強く、グリーン ニューディールを続けて、経済、雇用拡大、税収アップにまで結びつける事に成功したとしても、その間の財政支出によって、各国、地域、地方が、巨額の債務を抱える事になる可能性が高いことです。

 経済、雇用拡大を実現するまでの間、そして、巨額の債務を返し続ける間、福祉、教育、社会資本整備等、他の分野に思うように予算を回すことが難しくなります。

○貧富の差

 国、地域間の貧富の差は、広がる可能性があります。
どんどん財政支出を行い、グリーン ニューディールを十分に続けられる、これまでの富の蓄積がある国、地域は、いずれ経済が拡大していくでしょう。

 しかし、その余力がない国、地域は、自力でグリーン ニューディールを行う事は難しいですし、これまでより海外からの投資や援助が減って、ますます苦しくなるでしょう。

○温暖化の影響

 どこまでグリーン ニューディールを徹底できるかによりますが、化石燃料に頼った経済復興をする場合に比べればずいぶんましで、温暖化のスピードを抑える事ができると思います。

 いずれ、CO2濃度の固定化にも成功するかもしれません。

 ただし、前回も指摘したように、時間がかかりすぎるため、かなりの悪影響も覚悟し、適応策も行う必要があるでしょう。


 次回は、私の提言や、類似した対策が採用され、再生可能エネルギー革命が実現した場合の未来を予測してみます。
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2009年03月06日

フェリー業界苦境

 地元の新聞(中日新聞)の夕刊に、春休み前にも実施される高速道路料金の大幅値下げによって、フェリー業界が苦境に立たされるという記事が掲載されました。

 それによると、土日祝日は関東、関西圏以外の高速道路料金の上限が1000円となるため、長距離航路が大きな影響を受けることは必至として、減便する動きが出ているそうです。

 例えば、太平洋フェリーは、名古屋-仙台-苫小牧の定期航路のうち、日曜日の出発便を今月から初めて、全面休止にしました。

 フェリーに限らず、公共交通機関は、これまでもギリギリの経営をしてきているところが多いことを考えると、今回の高速道路料金割引によって、息の根を止められる会社が出てくるのではないかと心配です。

 以前、政府、関係省庁、各政党に意見を送付したように、是非、一日1,000円の鉄道旅行券(公共交通機関利用券)配布のアイディアを検討していただきたいと思います。
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2009年03月05日

環境、経済の未来予想図3

 先日、昨日の続きです。(流れ全体は2008年12月27日の記事からご覧下さい。)

●グリーン ニューディールを進めた場合

○経済、雇用への影響の続き

 今朝、テレビを見ていたら、商品へのカーボンフットプリントの表示が始まったというニュースをやっていました。

 カーボンフットプリントというのは、その製品の原料調達段階から、製造、使用、廃棄までのトータルで、どの位の温室効果ガスを出すのかをCO2排出量に換算して表示するものです。

 テレビ局のインタビューで、ビール会社の方が、長期熟成をやると、それだけエネルギーを使うことになり、CO2排出量の数字が大きくなってしまう、商品の質向上とCO2排出量削減の両立は難しい、とジレンマを語っていました。

 昨日の記事で私が伝えたかった事の良い例がこれです。
昨日は、機械の例を挙げましたが、このビールの例でも、エネルギーが全て再生可能エネルギーに切り替われば、このようなジレンマを感じることなく、商品の質向上に取り組めるわけです。

 そうした足かせが取れる段階まで行けば、経済がどんどん拡大していくと思います。

 さて、このようなグリーン ニューディールを徹底する方法の問題ですが、一つは、時間がかかりすぎるということです。

 再生可能エネルギーへの完全な切り替えには、相当なコストがかかります。財政支出や、政策の誘導だけで、今回のような不景気の中、企業や個人の投資意欲をかき立て、コストのかかる再生可能エネルギーの設備を設置したり、インフラの整備を進めるには、かなりの時間がかかります。

 その間も多くの企業、個人は、不況に苦しむことになります。

 環境関連の産業が成長し、特に再生可能エネルギーへの切り替えが進み、経済全体の成長、雇用拡大につながり、さらに税収アップにつながるまでには、相当な期間が必要になると思われます。

 どれだけ徹底して取り組むかによりますが、今世紀中頃まではかかるかもしれません。
怖いのは、そこまで経済の停滞を我慢できず、温暖化対策をそっちのけにして、手っ取り早い化石燃料に頼った経済拡大策を取り始めることです。

 そうなると、先に崖があることが分かっているのにハンドルを切らずにアクセルを踏むようなものですから、早晩、破局的結末を迎える事になるでしょう。

 もう一つの問題についてはまた。

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2009年03月04日

環境、経済の未来予想図2

 先日の続きです。(流れ全体は2008年12月27日の記事からご覧下さい。)

●グリーン ニューディールを進めた場合

○経済、雇用への影響の続き

 自動車に限らず、地球温暖化を気にせずにエネルギーを使えるようになれば、家電、産業機械、ロボット等の機械は、それまでより消費電力を気にせず、より高機能なもの、よりサービス性の高いものを開発できるようになります。

 もちろん、電気代等エネルギーコストに跳ね返りますし、同じエネルギーでより多くの人たちが豊かに暮らしていくためにも、省エネの努力は引き続き必要ではありますが、地球温暖化対策という命題が重くのしかかっている現状よりははるかに楽になり、企業は、より自由な発想で製品開発ができるようになります。

 また、サービスの面でも、移動・輸送手段等を使いやすくなりますから、多様な、よりきめ細かいサービスを行いやすくなります。

 このように、グリーン ニューディールを辛抱強く続けていれば、ある段階から、経済はどんどん活気づいていくでしょう。また、多くの人手を必要とする業界にも経済効果が広がっていきますから、雇用拡大にもつながっていくでしょう。

 ただし、この方法には、大きく分けて2つの問題があります。
この続きはまた。

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2009年02月25日

環境、経済の未来予想図

 化石燃料への依存を続けた場合、グリーン ニューディールを進めた場合、私が提案している再生可能エネルギー革命が実現した場合で、どんな違いが出てくるか、予想してみました。

●化石燃料への依存を続けた場合

○今世紀中に考えられるリスク
・異常気象多発
・食糧・水不足
→それらによる購買力低下、市場縮小、喪失、経済停滞・縮小

○数百年、数千年以内のほぼ確実なリスク
・海面上昇数メートル〜十数メートル
→沿岸部の工業地帯、住宅地等が水没
(日本の例)沿岸部の主要国道、高速道路、新幹線等が寸断される

○数百年、数千年以内の可能性があるリスク
・海面上昇数十メートル
→海に面した平野ほぼ水没
(日本の例)関東平野、濃尾平野、関西平野等ほぼ水没
・メタンハイドレートの自然気化による酸欠
→生物大量絶滅

 その他にもたくさんのリスクがありますが、経済的に特に大きな影響がありそうなリスクを挙げてみました。まぁ、この道を進むことはないと信じたいですが・・・。

 次に、環境分野への投資を進めて雇用を拡大し、経済を成長させようという、今注目のグリーン ニューディールを進めた場合と、私が提案している再生可能エネルギー革命が実現した場合を比較してみましょう。

●グリーン ニューディールを進めた場合

○経済、雇用への影響

 最初の効果は限定的でしょう。
財政出動が中途半端だったり、方法が的はずれなら効果がない場合もあるでしょう。

 太陽光発電装置、風力発電装置の生産は、たくさんの労働者を必要とする、労働集約型ではないため、企業の売上げ拡大にはなるでしょうが、雇用の拡大はそれほど望めません。

 太陽光発電の設置はある程度人手がいるので、その部分での雇用拡大はあるでしょう。

 バイオ燃料用作物の栽培は、やり方によっては雇用の拡大につなげられます。実際、ブラジルでは数百万人の雇用拡大になっています。

 ただ、日本の場合は、減反をやめて、食料と競合しないバイオ燃料作物を生産するというのが現実的なので、その場合、休まされていた人たちが働き出すケースが多いわけで、どれほど実質的な雇用の拡大になるのかは不透明です。

 初期には劇的な経済、雇用拡大効果は見られないとしても、辛抱強くグリーン ニューディールを続けていると、ある段階から全体的に経済が活気づき、雇用も拡大していくと思われます。

 例えば、自動車では、再生可能エネルギーによる水素生産が軌道に乗り、供給スタンドがある程度整備され、燃料電池車の生産が本格化した段階です。

 もしくは、バイオ燃料100%で走れる車や供給スタンドが普及したり、再生可能エネルギーなどCO2を出さない電気100%で、電気自動車の充電が可能になった段階です。

 そこまで行けば、ほとんど温暖化の心配をすることなく自動車に乗る事が可能になりますから、趣味としてのドライブも“復活”するでしょう。(今は、臆面もなく趣味がドライブと言うと、見識を疑われる場合があります。)

 それまでは、幾ら燃費のいい車であっても、乗らないに越したことはないと思う人が増えてきていますから、なかなか自動車生産の拡大は厳しいのではないかと思います。(少なくとも国内では)

 ハイブリッドカーはもちろん、化石燃料で走りますし、電気自動車でも、その電気のかなりの部分を火力発電で賄っています。

 燃料電池車も、水素を天然ガスから作っていたら、やはり化石燃料を使うことになります。

 もちろん、どうしても車がないと不便という人はかなりいますから、車を買い換える時には、そうした、よりエコな車が選択肢になってくるだろうと思いますが、それは、車が置き換わるだけで、拡大にはなかなか至らないのではないかと思います。

 できるだけ早く、後ろめたさなしに車に乗れるようにする事が大切だと思います。


 ああ、簡潔にまとめるつもりだったのですが、この種の話を書いているとどうも長くなります。
続きは、また。
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2009年02月23日

再生可能エネルギーを急速に普及させるための提言

 これまで何度かお伝えしてきた、(2008年12月27日の記事からご覧下さい。)再生可能エネルギーを急速に普及させるためのアイディアについて、提言書にまとめました。

 以下からダウンロードしていただけますが、文章も掲載しておきます。
国際連合再生可能エネルギー基金設立に関する提言書.doc

再生可能エネルギーを急速に普及させるための提言

〜人類の危機を乗り越えるため国連に無限の予算を〜


2009年2月23日
環境ジャーナリスト 富永秀一
http://otomitv.seesaa.net/


@はじめに
 IPCCが報告されているように、地球温暖化は人類にとって深刻な脅威です。一刻も早く化石燃料から再生可能エネルギーへの切り替えを進める必要があります。太陽光、風力、地熱、バイオ燃料など、再生可能エネルギーの資源量は、全世界のエネルギー需要を十分満たす事ができ、現状の技術でも、化石燃料から再生可能エネルギーに全面的に切り替える事は可能です。
 問題はコストが莫大にかかる事ですが、人類自身が存続の危機に立たされているのに、人間が作ったお金という制度の為に危機回避が遅れるのは滑稽です。そこで、再生可能エネルギーを普及させる目的に限って、国連が無限の予算を使える仕組みの創設を提言します。


A枠組み
(1)国際連合再生可能エネルギー基金「United Nations Renewable Energy Fund」(UNREF)の設立
太陽光発電設備や、風力発電設備、地熱発電設備、バイオ燃料製造設備、蓄電設備、水素製造設備など、再生可能エネルギーに関する設備の整備に目的を限定して、国連が、無限の予算を使える事を、国連で決議します。そして、その実行のために国際連合再生可能エネルギー基金「United Nations Renewable Energy Fund」(UNREF)を設立します。

(2)UNREFが事業を発注
UNREFは、世界全体や各国、地域のエネルギー事情から判断し、必要な再生可能エネルギー関連設備を、国や地域を通して発注します。設置する場所は国、地域が所有する土地が、手続きが簡単で良いですが、適した場所であれば民間から買い取っても構いませんし、良い場所がなく、海沿いであれば、メガフロート(巨大な浮島)を建設しても構いません。

(3)国際入札で事業者を決定
再生可能エネルギー関連設備の建設は、設置する地域や期間である程度まとめて一つのプロジェクトとして行います。プロジェクトの施工を行う事業者は、基本的には国際入札で決定します。入札に参加できる企業については、生産能力や実績、環境負荷低減への取り組み等で明確な基準を定めます。

(4)バーチャルな通貨を使用
UNREFは、各国、地域にバーチャルな通貨で事業の代金を渡します。バーチャルなので、必ずしも紙幣や貨幣は必要ありません。各国、地域は、事業を行った企業に対して、その国、地域の現実の通貨を発行して支払います。

(5)設備は国、地域が保有
完成した設備は、通貨を発行して支払った国、地域が保有します。設備の管理、運営は、国、地域の直営でも、企業に業務委託しても構いません。電気やバイオ燃料、水素等を販売した利益は、国や地域が得ます。

Bメリット
(1)国や地域が資金を調達する必要がない
国や地域が財政出動する場合と違い、国や地域が資金を調達する必要はありません。つまり、国債を発行したり、予算のやりくりをして費用を捻出しなくて済みます。グリーン ニューディールの場合と違い、将来の世代に多額の債務を残す心配がなく、再生可能エネルギーの普及に使う予算の一部を、社会福祉や社会資本整備、直接的な雇用対策などに回す事ができます。

(2)景気に左右されない
各国、地域の予算、企業の投資資金、投資意欲とは関係なく整備を進められるため、景気に左右されません。

(3)最大限に近い速度で整備できる
国連が主体で、無限の予算があることから、再生可能エネルギー関連企業は、リスクをあまり恐れることなく設備投資できます。その為、人類が可能な最大限に近い速度で、化石燃料から再生可能エネルギーへの転換ができます。

(4)世界の賛同を得やすい
特定の国や地域主導の制度では、全世界の賛同を得られなかったり、時間がかかる可能性があります。しかし、国連が主体であれば、世界的な賛同を得やすいと思われます。化石燃料の輸出国は、急速に化石燃料の需要が減ることで不利益を被ります。そこで、現在大量にエネルギーを消費して、輸入に頼っている国は、現在の輸入量の半分程度は自前で賄えるものの、残りは引き続き輸入に頼る程度に、再生可能エネルギー関連設備の設置量を抑えます。そして、現在の化石燃料輸出国には、自国の消費量を超え、電気やバイオ燃料、水素等を輸出できるだけの設備を設置します。この措置によって、予想される化石燃料輸出国の不満をある程度解消できると思われます。

(5)経済力の格差を縮められる
現在、経済力が強い国や地域には、国内需要を完全に満たす再生可能エネルギー関連設備の整備は行わず、経済力が劣る国や地域には、電気やバイオ燃料、水素等を輸出できるだけの設備を設置します。この措置により、現在、経済力が劣る国は外貨を獲得して豊かになり、国、地域間の経済格差が縮まります。これは、一見、経済力が強い国や地域に不利なように思えるかもしれませんが、現在、経済力が劣る国や地域では、市民の購買力が低いため、高価な商品は売れません。しかし、経済状態が良くなり、豊かな人たちが増えれば、高価な商品も売れるようになります。現在経済力が強い国や地域は、そうしてできた新たな市場で商品を販売して利益を上げればよいので、その効果を考えれば、一概に不利とは言えません。


Cデメリット
(1)インフレーションが起きる可能性がある
大量に通貨を発行すると、物の価値に対して通貨量が過剰になり、インフレーションが起きる可能性があります。その為、設備の価値に見合った、適正な価格を支払う必要があります。そこで、国際入札に参加が可能な全企業の、UNREFの為に使える設備の年間生産能力を合計し、その量の9割程度を、年間発注量とすると良いと思われます。こうすれば、ほとんどの企業が十分に受注できるものの、10割ではないので競争が生まれ、不当に価格がつり上がる事を防げます。それでも、国、地域の経済状況によって、深刻なインフレーションが起きる可能性がある場合は、発注量を調整する必要があるかもしれません。

(2)目的が拡大される可能性がある
目的は、再生可能エネルギー関連に限定すべきです。無限に予算を使える制度は、様々な分野で魅力的に映るかもしれませんが、濫用すると、現在の経済に大きな影響を与える可能性があります。また、平和維持活動に使うと、強大な軍事力を持つ国連軍が誕生する可能性があります。どんな状態が平和なのかは、立場によって変わりますし、現在の軍事バランスが大きく変わると、不測の事態が起きる可能性があります。あくまで、人類共通の危機である、地球温暖化の問題を乗り切るため、化石燃料から再生可能エネルギーに転換する事に目的を限定すべきです。

(3)地球温暖化以外の環境問題を起こす可能性がある
再生可能エネルギーを活用することで、他の環境問題が起きる可能性があります。それをできるだけ抑えるため、事業者を選定する国際入札においては、価格だけでなく、環境負荷の少なさも重要な基準にするべきです。ライフサイクルアセスメント(LCA)を行い、次のような点を考慮すると良いと思われます。
・原料の有害性や採掘、産出、生産時の環境への影響や、消費エネルギー
・工場までの輸送エネルギー
・装置を生産する時の消費エネルギー
・設置場所までの輸送エネルギー
・設置に必要なエネルギー
・設備の設置、運用が与える周辺環境への影響
・生産したエネルギーの、送電、蓄電、転換、輸送等が与える環境への影響
・メンテナンスやリユース、リサイクル、廃棄の見通しや、環境への影響
こうした点をポイント化して、その設備で見込まれる発電量、生産量等の単位あたりの環境負荷ポイントが少ない企業や手段を優先するわけです。一定の基準を満たさない企業や、手段には、入札参加資格を与えないようにすれば、他の環境問題が起きる可能性を抑える事ができます。

(4)化石燃料が余って低価格になり、切り替えが進まない可能性がある
再生可能エネルギーが増加すれば、化石燃料が余ります。そのままだと、価格が下がり、使いやすくなるため、再生可能エネルギーへの切り替えが滞る可能性があります。そのため、再生可能エネルギーが相対的に安くなるよう、化石燃料には環境税をかけ、再生可能エネルギーの生産量拡大に合わせて、段階的に高くしていくよう、国際的に取り決めをする必要があると思われます。


Dまとめ
 人類が直面している、地球温暖化の危機を乗り切るため、まず必要な事は、再生可能エネルギーを普及させる目的に限って、国連が無限の予算を使える仕組みの創設を“決める”事です。国際的に合意して“決める”だけで、人類が可能な最大限に近い速度で、化石燃料から脱し、再生可能エネルギーで全世界のエネルギーを賄う世界を実現できるのです。この方法なら、人類はこれからも進化の道を歩み続けることができるでしょう。
国連、世界の国、地域の指導者、世界に大きな影響を与える実力者、そして、全世界の人々が、一日も早く、この提言の重要性に気づき、“決めて”頂くことを願っています。


posted by otomi at 18:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 提言 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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